当院では、Ronald H.Roth先生が提唱する『ロスフィロソフィー』に基づいて、矯正開始前にアゴの関節(=顎関節)を十分に診査し、顎関節を中心とした診断および治療を行っています。なぜなら、顎関節が正常でなければ、良いかみ合わせを作ることは非常に困難となるからです。

まずはCTやMRIで顎関節を診査し、顎関節がズレていたり、位置が不安定な患者さんでは、まず最初に顎関節の位置を安定させ、その上でかみ合わせを作るようにしています。その結果、個々の歯にとって最も負担のかからない位置で歯を排列することができ、歯の周りの歯周組織や筋肉、顎関節にも負担が少なくなり、生涯にわたって自分の歯を長持ちすることができるようになります。これは、家を建てる時に、地盤がゆるければ地盤を固めてから家を建てることと同じです。

 

 

 


機能的なかみ合わせには、顎関節が大事です。 

 

 


初診時


スプリント後


矯正治療後


保定2年後

初診時、スプリント後、矯正治療後、保定2年後の口内
および口元写真と左右顎関節CBCT

 初診時には左右の下顎頭は関節窩内で前下方にズレていますが、スプリント後には後上方に偏位して安定し、口内のかみ合わせのズレは大きくなりました。
矯正治療後には下顎頭は関節窩にシートした状態で、口内の歯並びとかみ合わせの改善が得られています。保定2年後は、口内の歯並びとかみ合わせは後戻りなく安定しており、下顎頭の形態と位置も問題ありません。口唇も閉じやすくなり、緊張感が無くなりました。

 

 

主訴 歯並び、アゴが痛い
診断名 上下顎前突症、ハイアングル
年齢 34歳
使用装置と抜歯部位 マルチブラケット装置(舌側矯正)、 抜歯
治療期間 スタビライゼーションスプリント1年6ヶ月(通院回数:18回)、マルチブラケット治療3年6ヶ月(通院回数:42回)
治療費用 110万
リスクと副作用 矯正治療によって、歯根吸収やブラックトライアングル(歯と歯茎の境目の隙間)が生じる可能性があります。